くどちんのリハビリ室 ~理学療法士による関節痛のケアブログ~

#2【確信しました】日本文化は『体幹機能』を最大限に高める文化です

書籍

ここでご紹介する本は、基本的には「全日本人」にオススメです。
これを書いている2023年2月現在、正直に言いますが僕自身まだ関節痛を抱えている方への臨床結果はありません。

しかし、動きの改善に効果的にあるのは間違いありません。

そのため「痛みはないけども、日頃の体への負担を減らしたい!」という方に向けて、書籍で紹介されている体幹機能を高める方法と共に書評を書きたいと思います。

その本というのが「疲れない体をつくる『和』の身体作法〜能に学ぶ深層筋エクササイズ〜」です。
能楽師でありロルファー(アメリカ初のボディワーク)の著者が書いた、本になります。

これは僕の感覚ですが、「和」と「西洋」の感覚がうまく融合したような一冊です。
「和」に興味津々で「西洋」に偏り立ちな医療資格保持者の僕としては、とても面白かった!

とここでお話しすると長くなるので、順番にご紹介していきますね。

こんな方に特にオススメの本です!

  • もう少し軽く動けるようになりたい!
  • 「和」の身体操法って何それ!?どんなもの?という方
  • 東洋思想に興味がある
  • ロルフィングに興味がある

本記事の内容

  • どんな本?【能楽師+ボディワーカーによる身体の使い方(主に体幹)の本】
  • なぜ購入しようと思ったのか?【能楽師視点という事に興味が惹かれた!】
  • 理学療法士の僕が「面白い!」と思った部分【日本文化は体幹機能を高める】
  • 【まとめ】失われた日本人の感性を「身をもって」取り戻すきっかけになった一冊

どんな本?【能楽師+ボディワーカーによる身体の使い方(主に体幹)の本】

冒頭でも書きましたが、この本は能楽師であり、かつロルフィングというボディワークの有資格者である著者による、日本人のための身体の使い方や体幹トレーニングについて書かれている本です。

欧米のボディワークであるロルフィングを学んでいることもあり、動き方やトレーニング方法に関しては、感覚的なものだけではなく、解剖学的な(どこの筋肉を使って等)視点、つまり科学的な視点からも解説されています。

そのため、実際にワークに取り組む際にも、どこを意識すべきか?という事が意識がしやすくなっています。
解剖学的な知識も書いてあるので、自ら調べ学びを深めることも可能です。

この他、能楽師ならではの「東洋思想」の話も書いてあり、とても興味深い一冊です!
和洋折衷な一冊、とでも言いますね笑。

なぜ購入しようと思ったのか?【能楽師視点という事に興味が惹かれた!】

僕がこの本を選んだ理由は「能楽師」というワード。
元々「日本人に合ったボディワークを推し進めたい」と思っていたので、「能に学ぶ〜」をみてすぐにポチッとしました。

またこの著者の方は、僕も名前だけ知っている「ロルフィング」というボディワークの資格も保有しているとのことで、その点についても期待して購入しました。

ボディワーカーが書いている本は、やはり信用しても良いのかな〜と思っています。
(もし皆さんも運動系の本をご購入する際には「どんな人が書いているか?」という著者の背景はチェックすると良いですよ♪)

結論として、この判断は間違っていませんでした。
読み終わるのが寂しいと感じるくらい面白かった。

では次に、具体的に「ここは面白かった!」と思った部分の一部をご紹介しますね!
※ネタバレがいやだ!という方は、スルーしてOKです!

理学療法士の僕が「面白い!」と思った部分【日本文化は体幹機能を高める】

僕がこの本を読んでいて面白い!と思った部分を一部ツイートを交えながらご紹介しますね!
実践できるものもあるので、ぜひ実際に取り組み体感してください!

正座は「正しい座り方」だった!

正しい座り方は「正座である」と書籍の中で話されています。
読んで字の如くなので言われたら「当たり前」と思うのですが、恥ずかしながら見落としていました。

椅子やソファに座ると、骨盤は倒れ体幹はぐにゃっとなり、力が抜けていきます。
一方で、正座はというと、骨盤が立つため、自然と体幹に適度な力が入るんですね

これば僕(反り腰タイプ)が実際にやってみた体感なんですが、3分くらい正座でいると、少しずつ胸周りが楽になり呼吸がしやすくなっていくんですよ!

そして立ってみると、体幹機能が高まっているので安定感がアップ!
これはなかなかすごいですよ!不思議な体験です。

ちなみに、この時僕はゆるっとした姿勢で正座していました。
少し首を長くする意識を持つと、もしかしたらより良いかもしれません!ただ、その場合は「腰の反り」に注意して下さいね。

頭の後ろを長く伸ばす意識で行うと腰に力が入りにくいですよ!
ぜひお試しあれ。

『帯』の効能【締めるだけでコアが高まる】

和服を着る時には「帯」を絞めますよね?
この「帯」に、日本人の身体の強さの『秘密』があったんです。

『秘密』というのが、帯を締めることによって骨盤・体幹が安定するということです。

僕も昔、袴を着たことがありますが、その時のことを思い出すと確かに帯を絞められた時は「シャキッと」した印象があります。

これもすぐに体感できるので、ご紹介しますね!
まずは、帯または太めの「紐」をご用意ください!(腰を縛れるのであればなんでもいいです!)

縛る位置は「骨盤(腰骨)の位置」です←これ大事!
ウエストの位置で縛るのはNGです。必ず腰骨の位置で縛ってくださいね。

骨盤の位置で縛る事により、体幹機能が高まります。
腰を縛った後で、軽く歩いてみたり、腿上げをしてみたりと色々動いてみてください。

おそらく、普段よりもちょっと軽く体を動かすことができるのではないかな?と思います。
すごいですよね?これが帯』の力です。

洋服は、ウエストの位置でベルトを締めるので、この効能は得られません(意識的にウエストの位置を下げて閉めれば良いのかもしれませんが)。

「着ているだけでコアが高まる」というのが洋服にはない『和服』の機能なんですね!
これには僕も大変感心しました。

ちなみに、日本の履き物と言えば「下駄」や「足半」ですが、こちらも履くだけで身体機能が高まる優れもの!
これに関してはこちらの記事をどうぞ→足半を履いて感じた4つの効果【柔軟性向上・姿勢や歩き方の変化・足の血流アップ】

「練習」ではなく「稽古」の意味

日本の芸事では「練習」という言葉は使わずに「稽古」という言葉を使いますよね?
「なんでかな?」と思ったのですが、その理由にとても感銘を受けました。

本文を引用しますね。

「稽古」というのは「古(いにしえ)を稽(かんが)ふる」と訓じます。「稽」の原義は「神を迎えて神意にはかる」ことです。稽古とは新しいことを学ぶのではなく、神や先祖が、古から面々と受け継いできてくれたことを、体現するために師匠から学ぶことです。

この文を見た時に、僕は感銘を受けました。
稽古の言葉には、こんなにも深い意味がありました。そしてこの言葉を使うことを選んだ日本人に奥深い感性を感じました。

この言葉を聞いて、僕は「自分の身体を探求するボディワークも、ある意味「稽古」だな」と思いました。
ヨガでは「神は自分の中にいる」と考えています。

このことを踏まえて、ボディワークは「人生を生きる中で失った、自分本来のもの(=自分の中の神)を、呼び覚まし、体現していくこと」でもある、と考えました。

伝わったでしょうか?ちょっと言語化が難しいですね。
スルーしてもOKです笑。

とにかく今後、「ワーク」という言葉ではなく「稽古」という言葉を使って様々な運動をご紹介していこうと思います。
そう思わせてくれる内容でした。

【不思議】壁に触るだけで身体が柔らかくなる!?

これは「ロルフィング」について書かれている章で紹介されていた内容です。
壁を触りながら前屈すると・・・・いつもよりも深く前屈ができるんです!!!

これは騙されたと思って一度やってみましょう!
壁の横に立ってください。

①まずはいつも通り前屈をして、今の身体の硬さをチェックしましょう!。
②次に、片手で壁を軽く触りながら前屈をしてみて下さい!

さて、柔らかはどう変化しましたか?前屈が深くできるようになりましたか?
もし「柔らかくなった!」という方は・・・不思議ですよね?

書籍内の言葉を借りますと、これは「脳神経をゆるめる」という原理だそうです。
詳細は、書面に預けますが、神経をコントロールすることによって、筋肉の柔軟性が変化して身体が柔らかくなるんですね!

このような、ロルフィングの原理に基づいたボディワークがいくつか紹介されています!
ロルフィングを学んだことがなかった僕としては、ロルフィングにも興味が湧いてきました。

米国ではアスリートもコンディショニングでロルフィングを行っているそうで、実績は申し分ないボディワークですね。

ぜひ、この書籍で「ロルフィング」の世界の一部も体験してみてください!

【まとめ】失われた日本人の感性を「身をもって」取り戻すきっかけになった一冊

最後に、簡単にまとめますね。

  • この本は、能楽師でありロルファーの著者による書籍
  • 体幹の仕組みやトレーニング方法が和洋の視点で書かれている
  • 書籍内のトレーニングは効果がすぐに体感できるものもある
  • 「和の身体操法」、「ロルフィング」に興味のある方にはオススメ
  • もちろん、日頃の身体の動きを「楽にしたい」という方にもオススメ

まとめるとこんな感じになります。
最後に、1つ「ん〜・・これはちょっとな〜」と思った点を挙げると「能の動きを転用したトレーニング方法」についてです。

どういう事かと言いますと「書籍内の写真だけでは、動きの正解がわからない」ということです。
「書籍」という性質上仕方ありませんが、QRコードなどを使い、解説付きの動画が観られると良かったな〜と思いました。

「能の動きでトレーニングをする」という事を期待して読んでいた部分もあるので、ちょっぴりがっかり。
こちらの著者は、他にも著書があるので、そちらに書かれているのかもしれません。

そちらの期待しましょう!

とにかく!僕はこの本で「やっぱり今の日本人が健康になるためのヒントは古来の日本人にある」というのを確信しました。

僕は、日本人は本当に素晴らしい民族だと思っています。
賢く、協調性が高く、そして感性が豊か。なかなか世界でも類を見ない民族なのではないでしょうか?

それが、欧米の波に飲まれたがために、様々な身体のトラブルを引き起こされたと考えています(もちろん良い点もあると思いますよ)

昔ながらに日本人が持っている感性や文化を取り戻し、和洋折衷でいい感じに利用することができれば、もっと健康な人が増えて、良い社会が形成されるのではないでしょうか?

身体が整っていないと思考も整いません。
この本をきっかけに「和」の文化の素晴らしさを「身をもって」体感してみてください!

今回は以上です。
ありがとうございました!