くどちんのリハビリ室 ~理学療法士による関節痛のケアブログ~

【疾患解説シリーズ】変形性膝関節症ー原因は加齢や筋力じゃなく『体重のかかり方』

膝の痛み 関節痛・肩こり

中高年女性に多く見られる「変形性膝関節症」
体重をかけた時に膝が痛くなったり、膝を曲げると痛くなったりしていませんか?

膝の軟骨がすり減り、変性・炎症が起こると痛みを生じる変形性膝関節症ですが、病院に行くと、おそらく「加齢ですね」「膝周りの筋肉が弱いからですね」と言われる事が多いです。

しかし、それは半分正解で半分間違っている、と僕は思っています。
つまり、結果として加齢や筋肉の弱さは原因になるけど、それは本当の原因ではない、というのが僕の考えです。

詳細は後述しますが、そんな「変形性膝関節症」僕が思う原因についてこの記事で解説していきます。

膝の痛みに「湿布」と「膝の筋トレ」しか対処方法がなく困っている方にお読み頂ければと思います。
僕なりの、ケアやトレーニングも合わせてお伝えしますね。

本記事の内容

変形性膝関節症ー原因は加齢や筋力じゃなく『体重のかかり方』


結論を先に申しますと、僕は変形性膝関節症の原因は「体重のかかり方にある」と考えています。

具体的に説明しますと、まず、体重のかかり方が、膝にストレスとなるかかり方になっている。
すると、本来分散されるはずの脚へのストレスが、膝に集中してしまう。

その状態が長期間続くことで、膝へのストレスを処理しきれなくなり、膝が変性し最終的に「痛み」が発生する(=変形性膝関節症の発症)。

これが僕の考え方です。

では、なぜ膝に負担のかかるような体重のかかり方になるの?という質問の答えは、肉体的な要素、精神的な要素、内臓や運動発達など非常に多岐に渡るのでここでは割愛させていただきます。

まずは、今ある痛みを取り除くには「体重のかかり方を変える」という事が先決です。

ただ、後述しますが「背骨」「股関節」「足指」がポイントになることは間違いありませんので、ぜひご紹介するケアや対処方法には取り組んでみてください。

どんな体重のかかり方が問題?【内外への偏りはNG】

では一体どんな体重のかかり方が、変形性膝関節症の発症原因、または痛みの原因となるのでしょうか?
結論は「足の内側、または外側に偏った体重のかかり方」です。

わかりやすい例は「外反母趾」の方。
外反母趾の方は、体重が足の内側にかかっている典型例です。

また外反母趾とは逆に、足指が内側(親指側)に向いている方は体重が足の外側にかかっている典型的な例です。

このように、足の指を見ると自分の荷重のクセがわかります。
年月が経っていれば経っているほど、足の指に現れやすいです。

もちろん立った状態でも確認することができます。
その場で立ってみて、左右の足がどのような体重のかかり方になっているか感じ取ってみてください。

左右同じ人もいるし、左右で違う人もいます。
ちなみに僕は右足は内側で、左足はどちらかと言えば外側に偏っています。

慣れないうちは、感じ取るのは難しいかもしれませんが、繰り返していくうちに「なんとなく」わかってくるはずです。
その「なんとなく」を大事にしてください。

※再発予防のためにセルフケアをしっかりやっていこう!と思っている方は、この感じとる力は必須となるので、ぜひ練習してみて下さい。

なぜ加齢や筋力は原因じゃないのか?

ここでこんな疑問が浮かびませんでしたか?
「では医師が言う『加齢ですね』とか『筋肉が足りないからですね』というのは間違いなの?」

冒頭でも述べましたが、これに関しては半分正解で半分間違いです。

と言いますのも、膝に負担のかかる体重のかかり方が長期間続いたことで(=加齢)、本来は関節を支える「筋肉」が機能しなくなった(=筋力低下)結果、関節で変性が起きたからです。

そのため、医師は完全に間違ったことを言っているわけではありません。
ただ、原因の深さが異なるだけです。

こういうと、医師のことを悪く言っているように誤解されてしまいますが、そういうことではありません。
医師は、治療をスムーズにかつ効果的に進めるために、患者さんにわかりやすく説明する必要があります。

そのため、あえてわかりやすい言葉で患者さんに説明しているのだと思います。

急に「体重のかかり方が〜」とか細かいことを説明して「わけわからんこと言ってる」と思われると信頼関係ができず治療が進まないですよね。

治療には信頼関係が必要ですので、仕方ありませんね。

【必見】変形性膝関節症の方のためのケア・対処方法


さて、変形性膝関節症を発症する原因について解説してきましたが、ここからは僕がオススメする「ケア・対処方法」についてご紹介していきます。

ケア方法については、変形性膝関節症の方が多く疲労しやすい部位のケアについてご紹介します。
毎日!が理想ですが、難しければ最低限「特に脚が疲れた日」「特に症状が強い時」に取り組んでみて下さい。

対処方法については、変形性膝関節症の発症原因となる「体重のかかり方」を変えるための方法を2つご紹介します。
ご紹介する2つは、僕が臨床現場で比較的多くの方にオススメしている方法です。

本来は、一人一人の身体の状態をチェックして適切な運動処方を行うので、これをお読みのあなたの身体に合うと断言できませんが、物は試しと思って実践してみてください!(←効果がなかった時の保険のように感じに聞こえますね笑)

では、最初に「ケア方法」からご紹介します。

変形性膝関節症の方におすすめのケア2選

①スネの内側のマッサージ

スネの内側にある「後脛骨筋(こうけいこつきん)」という筋肉をほぐす方法です。
特に外反母趾や扁平足の方に有効なマッサージで、おそらく最初は「痛い」と思います。

やり方は、スネの内側(上画像矢印の部分)を押すだけ
ポイントは、なるべくスネの骨を内側からエグるようにして押すことで、そうすると深部までほぐすことが可能です。

押したまま筋肉がほぐれるのを待つ方法を推奨しますが(この場合、目安は痛みが和らいだ時)、ぐいぐい押す方法でもOKです。大体1分間くらい押していればほぐれてくるかと思います。

マッサージの場所がわかると、手以外で押してもOKです。
僕はよくボールペンの頭の方(書く側じゃない方)で押すもの良いですよ!と患者さんにお伝えしています。

スネといっても、長さがあるので、どこが痛いかは人それぞれです。
そのため、色々な部位を押してみてどこが一番痛いか、響くかを確かめて狙いを定めて下さいね!

・・・たまに全部痛い人もいますが、そういう方は、なかなか年季が入っている証拠です笑。頑張ってほぐしましょう!

②足の甲のストレッチ

この方法は、僕はほぼすべての変形性膝関節症の方にはお伝えするケア方法です。
変形性膝関節症の方は、立った時の重心が後方(かかと寄り)になっている方が非常に多いのが特徴です。

すると足の循環も悪くなってしまうため、「足がだるい」という症状を引き起こしやすくなります。
また、足の循環の悪さは、膝の変性を進めてしまう要因にもなりますので、これは問題ですね。

そこで、足の甲のストレッチです。

足の甲をストレッチすることによって、立った時の重心が前になるため、指先が使いやすくなります。
結果として、足の循環がよくなるので、変性を予防・遅延させる効果が期待できるですね。

このストレッチのポイントは「足のアーチを意識すること」です。
扁平足の方ですと、潰れてしまっている足のアーチ(湾曲)を意識してストレッチすることで効果が高まります。

ストレッチの時間は大体片側1分間程度でOKです。
慣れたら、職場で座りながら取り組めるので、大変オススメです。

また、詳細は別記事に預けますが「足首をスッキリさせる効果」も期待できますので、ぜひ一度取り組んでみて下さい。
※これも最初はかなり痛いと思いますので、加減に注意して行って下さい(耐えられるくらいの痛みが理想です)。

※ツールを使った身体のケアに関しては、こちらの記事にてご紹介していますので、ご興味があればご覧ください。

【臨床現場にて効果実証済み】「ながら」で全身のケアが可能なミカサボールとは?【持ってないと損です】

現役理学療法士がテニスボールをケアグッズとして患者にオススメしている3つの理由

体重のかかり方を修正する2つのポイント【背骨・股関節】

それでは、最後に変形性膝関節症の原因である「体重のかかり方」を変えるためのトレーニングについてご紹介していきます。

記事の冒頭でも述べましたが、あくまで「比較的万人に効果のあった内容」をご紹介しています。
あなたの身体に合った内容ではない点にご注意下さい!

それでも、すべてのトレーニングを正しく行うことができれば、いくらか効果は見込めると思いますので、ぜひ一度試してみて下さいね。

①背骨を動かす

1つ目は「背骨」
今回ご紹介するのは、背骨の横の動きをスムーズにする簡単な方法です。

方法は、動画を観ていただければお分かりの通り、とても簡単。
脇腹を触りながら蛇のようにクネクネと横に動くだけです。

ポイントは脇腹を触る部位とそこへの意識。
脇腹は、脇のすぐ下〜腰の横くらいまで触り、しっかり触った部位を「縮める」意識を持ちましょう!

大体各5回〜10回ずつで、2往復もやれば十分ですね。

慣れてきたら、触っている部位と反対側の脇腹を「伸ばす」ような意識でもやってみるのもオススメです。

正しくできていれば、触っている方の脇腹が長く感じられると思います。

背骨の横の動きを改善することで、左右へのバランス能力を向上させることができます。
問題となる体重のかかり方のところで「外側・内側への体重の偏りが問題」ということを話しましたよね?

実は、背骨の硬さが原因で体重のかかり方に偏りが生まれるケースもあるんです!
そのため、この運動が基本的で、重要となります。

この運動をする前後で片脚立ちを確認してみると、変化が出るかもしれませんね。

②股関節のストレッチ&トレーニング

2つ目は「股関節」の運動。

変形性膝関節症の方は、特に歩いている時に股関節がうまく使えていないことが多いです。
また、そもそも膝に負担となる動き方になってしまう原因が「股関節を使えていない」から。

ゆえに、僕も臨床で膝関節にトラブルを抱えている方の股関節は必ず確認します。

さて、方法ですが、動画のように壁の前に立ち、足を前後に開きます。
つま先は必ず壁につけるようにして下さい(膝がつま先より前に出ると、膝に負担となります)。

足の裏が床と垂直になるように後ろの足のかかとを上げましょう!

両腕を曲げないように注意しながら、骨盤を真下に下ろしてスクワットをしてみましょう!
回数は、最初は5回〜でOKです。慣れてきたら10回を目標に取り組んでみて下さい。

どうしても前に上体が突っ込んでしまうので要注意です!

そのため「腕を曲げないこと」が重要ですね。

先ほどもお話ししましたが、膝を痛める方は、股関節の使い方に慣れていない方が多いです。
そのため、きっとこの運動をしていても「どうやっていいかよくわからない!」と戸惑うかもしれません。

それでも、動画を撮りながらなどをして正しくできるように、練習してみて下さい!
コツを掴んだ時、それは「股関節を使う動き」に身体が変わるきっかけになるはずです!

つまり、膝の痛みから解放される光が見えた瞬間ということです。
無理はせず、頑張って下さい。

【まとめ】加齢と諦めずに正しいアプローチで痛みの軽減を目指そう!


最後に今回のお話しをまとめますね。

  • 変形性膝関節症の原因は「体重のかかり方」
  • 膝にストレスとなる悪い体重のかかり方が、膝の変性や筋力低下を引き起こし症状を発生させる
  • 体重のかかり方を変えることが対策として有効なケースが多い

変性してしまった組織を元通りにすることは、難しいかもしれません。
ただ、痛みは「炎症」が原因なため、膝へのストレスを軽減することで、 炎症が落ち着くと痛みが軽減する可能性もあります。

痛みを少しでも早く落ち着かせるために、痛みが出るような動作を少しでも避ける、減らすことも大切です。
炎症への対応は、こちらの記事でもご紹介していますので、ご参考にしてみて下さい。

炎症反応ってどんな症状?【チェック項目もご用意しました】

痛みは「習慣」によって引き起こされます。
今回の件でいえば、膝に負担のかかる体重のかかり方という習慣が痛みを引き起こしています。

根本的な解決のためには、『習慣』を変える必要があるのですが、この点に関しては、こちらの書籍で深く解説していますので、ご興味があれば読んでみて頂ければと思います(Kindle Unlimitedの方は無料です)

「痛みは『習慣』で変わる!〜関節痛を根本から変える3つの習慣〜

今回は、以上です。
ありがとうございました。


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