【疾患解説シリーズ】頸椎症性神経根症ー背骨の連動性欠如が原因!?
首を傾げたりすることで痛みや腕・指先への痺れが特徴の「頸椎症性神経根症」。
首にその原因があるかと思いきや、実は・・・違います。
「背骨の連動性の欠如」
ここに根本的な原因があったのをご存知ですか?
そのため一生懸命首周りのトレーニングやストレッチをしても、正直「根本的な問題の解決には至らない」のが事実です。
本記事では、理学療法士でありボディワーカーの僕の臨床経験から、「頸椎症性神経根症」の原因とその対策について、独自の視点で解説していきます。
※【注意】手の痺れが強かったり、異常感覚がある場合は、強い神経障害の可能性があるため、必ず医療機関へ受診して下さい。神経障害を放置しておくと取り返しのつかない事があり、責任は取れませんのでご了承ください。
本記事の内容
- 【対策】背骨の連動性を取り戻す事がポイント
- 背骨の連動性と取り戻す運動①猫・牛のポーズ
- 背骨の連動性と取り戻す運動②わしのポーズ
- 背骨の連動性と取り戻す運動③クネクネ運動
- 「とりあえず」であれば手や腕のケアも有効
- 【原因】背骨の硬さ+首の使いすぎです
- 【まとめ】柔軟な背骨を取り戻して症状の軽快を目指そう!
※本記事でご紹介している対策(特に運動)は、本来専門家と動きを確認しながら行うものです。ご紹介している対策は自己責任で実施して下さい。実施した結果症状が悪化しても責任は取れませんので予めご了承下さい。
【対策】背骨の連動性を取り戻す事がポイント
原因については後述するとして、早速対策についてお伝えしますね。
冒頭でも述べましたが、頸椎症性神経根症には「背骨の連動性」を回復させる事が大切です。
首にトラブルが生じるということは、首に負担がかかっている事が容易に想像つきます。
きっと普段の何気ない動作や姿勢の中で負担がかかっているのでしょう。
このブログでは常々「ヒトの動きは全身が連動している」と言っていますが、この前提で考えると、首に負担が集中してトラブルが起きているということは、それ以外の部位で負担が分散されていないということです。
そこで、手っ取り早い対策は、首と直接繋がっている「背骨(肩甲骨の間)を動かす」です。
特に「背中」は、仕組み上硬くなりやすいため、運動をする際は「背中を動かす」ということを意識すると良いですね、
ここでは、僕が臨床でよく患者さんに指導する、背骨の硬さを解消するためのトレーニングを3つほどご紹介します!
※運動の最中や終わった後に、症状が悪化するようなことがあれば、その運動は中止してください。また症状の悪化が落ち着かないようであれば、医療機関を受診することを強くオススメします(全て自己責任で取り組んでください)。
背骨の連動性と取り戻す運動①猫・牛のポーズ
ヨガのクラスでは定番のポーズである「猫・牛のポーズ」。
正しく行う事ができれば、即効性のある素晴らしいポーズです。
背骨を満遍なく動かすため、首だけでなく腰や肩など様々な不調に対して効果を発揮します。
運動の方法に関しては、動画を観て頂ければと思いますので、ここではポイントの解説をします。
回数の目安は、背骨の曲げ伸ばし4〜5往復1セットで1日1〜3回が良いでしょう。
ポイントは2つあります。
1つは「力加減は2割」、そして2つ目は「背骨の1つ1つを意識すること(特に背中)」です。
1つ目のポイントは、安全にこのトレーニングを行うためのポイントです。
首を痛める方ですと、どうしても「首」に力が入りやすい方が多いです。
人によっては背骨ではなく「首」ばかり一生懸命動かしている方もいます。
こうなっては、一生懸命首を消耗しているに他なりませんので本末転倒です(おそらくその後は、首が痛くなるでしょう)。
2つ目のポイントである「背骨の1つ1つを意識」する余力を作る意味でも、力加減は2割程度に抑えましょう!
続いて2つ目のポイントは「背骨を1つずつ意識すること」。尾てい骨から頭のてっぺんまでの背骨を1つずつ意識して背骨を丸めたり反らせたりして行きましょう!
イメージしやすいように背骨の画像を載せておきますね。
「自分の背骨のイメージがわからない!」という方は、最初はざっくりでOKです。
例えば、尾てい骨→骨盤→腰→鳩尾→背中(両肩甲骨の間)→首の付け根→首→首と頭の境目→頭→頭のてっぺんの順です。
「全然ざっくりじゃないじゃん!」と思った方は、もっとざっくり「骨盤→腰→背中→首の付け根→頭」でもOKです!!
先ほどもお伝えしましたが、背中が硬い方が多く、背中の硬さで首にトラブルを招いている方が多いので、わかりにくいかもしれませんが、「背中」はできるだけ細かく意識してみましょう!(最初はわからないくて全然大丈夫です)。
背骨の連動性と取り戻す運動②わしのポーズ
肩甲骨周囲や背中の筋肉をストレッチしたり、背骨(特に背中部分)の可動性を取り戻すためにオススメなポーズです。
肩こりや自律神経を整える効果も整える効果を期待して指導することもあります。
ポーズのやり方に関しては、動画を観て頂いた方がわかりやすいので、ポイントだけ解説します。
このポーズのポイントは「肘を寄せたまま身体から離す」です。
このポーズは、両肘を合わせて肘を身体から離していくのですが、背中の筋肉が硬い人は、肘同士が離れていってしまいまうんですね。
肘が離れてしまうと肩甲骨や背中周りのストレッチ効果が下がり、本来の効果を得ることができなくなるため、できるだけ肘は寄せ続けましょう!(その上で離れちゃってもOKです)。
両肘を寄せた上で、肘をできるだけ身体から離します。
この時、鳩尾もできるだけ後ろに引くとさらに背中に効いてきますよ。
肘とみぞおちが引っ張り合いっこしているイメージですね。
ポーズの形をとったら40秒〜1分程度キープしましょう。
最低限このくらいの時間はキープしないと、身体の芯へ効いてきませんので頑張りましょう!
腕がかなりきついですけどね。。。
終わった後は、腕を解いて全力脱力しましょう!
詰まっていた、腕の血液が一気に流れ込んでくる感覚がなんとも言えません♪(これが肩こりなどの症状の緩和に良いんです!)。
何度も申しあげますが、背中の方がトラブルの原因である事が多いため、そういった意味では背中に集中的にアプローチできるこのポーズは大変オススメです!
背骨の連動性と取り戻す運動③ほふく全身
背骨から股関節を一挙にアプローチできるのがほふく前進。
赤ちゃんの運動発達過程にも含まれるほど、ヒトの本来の動きを取り戻すために欠かせない動きです。
しかし、首にトラブルを抱えている方がこの運動を実施するには注意点がいくつかあります。
まずは、この体勢をとると症状が誘発される場合は、絶対に実施しないでください。
首の向きなどを変えることで症状がでない場合はOKです。
安全に実施するために、まずこの点を押さえておいてください。
さて、この運動の取り組み方ですが、まずは「下半身だけ」でやってみましょう。
ここで、股関節の可動性を広げていきます(実は、股関節と首はとても重要な関係なんです)。
そして次に「上半身だけ」を動かし、背骨の動かしていきましょう!
最終的に、上半身と下半身を連動させて動いてみます。
肘と膝がくっつくくらいの柔軟性が目標ですね!
ついつい力んでしまいますが、力んでしまうと身体が硬くなってしまうので、できるだけ力まずに「脇腹を縮める」という意識で行いましょう!
回数は特に指定はありません。
筋トレではありませんので、少し疲れてきたら休憩を取るようにしましょう!
腕の滑りが悪い方は、腕の下にタオルなどを敷くと動きやすくなります。
また、この運動は「できているようでできていない人」が意外と多いので、自撮り等して僕の動きと比較しながら行なってくださいね!
普段しない動きで様々な関節を刺激することができる運動なので、運動後は、全身の筋肉が緩んで、症状が緩和されるだけでなく、身体が軽く感じられるかもしれませんね。
「とりあえず」であれば手や腕のケアも有効
実は、首や腕、手指の痛みや痺れをその場で軽減できる可能性のあるアプローチがあります(症状の強さによって異なります)。それが「手指」や「腕」のケアです。
「え!?それ早く言ってよ!」と思いましたよね?
でも、この話には裏がありまして、それは、効果は「一時的」であるということです。
もちろんこのアプローチでそれ以来症状がなくなったという方も経験していないわけではありません。
ですが、過度な期待は禁物です。効果は「一時的」と認識して、日々のケアという名目で取り組むことをオススメします。
手指のマッサージが特に有効なのですが、具体的な方法は、以下の記事でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【簡単】肩こりを解消する「手」のマッサージベスト3※気持ち良くはないです
なぜ「一時的」かを解説します。
手指や腕のアプローチによって症状が軽減するということは、手指や腕も症状誘発の要因の1つと予想されます。
ということは、日々の手指の使い方に何か問題があるということで、症状が軽減しても再びいつも通りに手指を使い始めると症状が元に戻る可能性は非常に高いという事です。
根本的な解決にはなっていない、という意味で「一時的」なのです。
それでも日々のケアとして取り組むことには大賛成。
日々のケアによって、症状の悪化を防いだり、進行を遅らせる事ができる可能性があるからです。
また、一時的にでも症状が軽減することは、精神的にも良い影響を与える事が期待できますよね。
「こうすれば少し楽になる」という方法を知っているのは、気持ちとしても楽になるかと思います。
全ての人に効果が出る!というような完璧なケアではありませんが、モノは試しようということで一度試してみてください。
特に、手を使うような仕事をされている方にはオススメです。
【原因】背骨の硬さ+首の使いすぎです
日本整形外科学会では、頸椎症性神経根症は以下のように説明されています。
加齢変化による頚椎症(椎間板の膨隆・骨のとげの形成)の変化によって、脊髄からわかれて上肢へゆく「神経根」が圧迫されたり刺激されたりして起こります。
遠近両用眼鏡でパソコンの画面などを頚をそらせて見ていることも原因となることがあります。-日本整形外科学会HP
もちろんこの説明は正しいものですが、僕の意見は少し違います。
冒頭でも述べたことですが、頸椎症性神経根症が発生する原因は「背骨の連動性の欠如」と考えています。
これは、動作上の問題であっても、姿勢の問題であってもほぼ同じです。
背骨の連動性が欠如し非合理的な動きとなった結果、組織で変性が起きて、本来は圧迫されない神経根が圧迫される事態となってしまうのです。
さて、背骨の連動性の欠如とはどういうことかと言いますと、まずヒトの身体の動きは、常に全身が連動している事が原理原則です。
もちろん首の動きにおいても例外ではありません。
むしろ首の動きは、人体で最も重い「頭」が動くので、バランスをとるように全身が連動しています。
そしてそのバランスによって関節などにかかる負担が分散されています。
具体的には、こちらの記事で解説していますので、ご興味があればぜひご覧ください。
首を傾げると痛い!しびれる!原因と対処法を理学療法士が解説!
背骨に硬さがあり、首にかかる負担が倍増するような動作、姿勢を習慣的にとっている事が原因で、最終的に神経根の圧迫部位で炎症が起きて症状が誘発されるのです。
一時的であれば大きな問題にはなりにくいかもしれませんが、この状況が継続的に、習慣的に続いてしまう事がポイントです。
つまり、頸椎症性神経根症は「老化」が原因と諦めず、「背骨の硬さ」を解消することで「理論上は」症状の軽減や再発予防が可能となる疾患なのです。
※一度変性してしまった組織は元に戻ることはありませんので、誤解しないようにお願いします。
【まとめ】柔軟な背骨を取り戻して症状の軽快を目指そう!
- 頸椎症性神経根症の原因は「背骨の硬さ」にある
- そのため対策は、背骨の柔軟性を高めるようなアプローチが良い
- 日々のケア、一時的な症状の軽減を目的として手指や腕のケアはオススメ
手指や腕、首周りの症状は非常にストレスになりやすく、日々煩わしさを感じていることと思います。
そのため、日々できるケアと組み合わせて背骨を柔軟にするトレーニングを継続的に実施してみてください。
最後にもう一度お伝えしますが、トレーニングやケア等によって症状が悪化するようであれば、医療機関を受診して下さいね。
神経症状は早めに対処する事で、その後に大きく影響を与えるケースがあります。
そのため、少しでも心配になったら受診を検討しましょう。
そして、今回の症状の発生を機に、日々首に負担をかけてしまうような『習慣』を見直してみてください。
痛みやしびれの原因でもある「炎症」をいち早く落ち着かせるためにも、『習慣』を見直すことは重要です。
それは動作の習慣だけでなく、食事や睡眠、思考といった習慣も指します。
具体的にどのような習慣が身体の不調を引き起こす原因なのか?
その内容を「痛みは習慣で変わる〜関節痛を根本から変える3つの習慣〜」という一冊の本にまとめました。
「動き」「食習慣」「思考」のそれぞれの要素がどのようにして身体の不調の原因となっているのか?
僕の臨床経験も交えて解説しています。
もちろん今回のお話にも通じる部分はありますので、ご興味があればぜひ手に取ってお読みになって下さい。
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